支配率37%でも3-0。レイラック滋賀がFC琉球戦で見せた「3つの勝因」

レイラック滋賀

3-0というスコアだけを見ると、レイラック滋賀の完勝だったように見えます。

しかし、試合の数字を見ると少し違った景色が見えてきます。

最終的なボール支配率は、レイラック滋賀が37%、FC琉球が63%。

ボールを持っていた時間だけを見れば、琉球の方が圧倒的に長かった試合でした。

それでもシュート数は滋賀が15本、琉球が11本。

そして最終スコアは3-0。

では、なぜボールを持つ時間が短かった滋賀が、これだけの差をつけて勝つことができたのでしょうか。

僕自身、レイラック滋賀で7年間プレーし、現在は外から試合を見る立場になりました。

元選手として今回のFC琉球戦を見ていて感じたのは、重要だったのは3つのゴールそのものだけではなかったということです。

どこでボールを奪うのか。

奪ったあとに、どう前へ進むのか。

そして試合の流れが変わったとき、どう対応するのか。

今回は、今季リーグ戦ホーム初勝利となったFC琉球戦を、僕が特に重要だったと感じた3つのポイントから振り返ります。

① 一番大きかったのは「前から行くだけではない」前線守備

この試合で最も大きかったポイントを一つ挙げるなら、僕は前線からの守備だったと思います。

前半20分あたりまでを見ると、ボールを持っていたのは琉球でした。

前半終了時点のボール支配率も、滋賀32%に対して琉球68%。

数字だけを見れば、琉球が試合をコントロールしていたようにも見えます。

ただ、実際の試合を見ていると、滋賀が一方的に押し込まれていたという印象はありませんでした。

むしろ、琉球が後方からボールをつなごうとするところに対して、滋賀のプレスがかなり機能していたと思います。

特に印象的だったのが、相手センターバックからボランチへ入るパスへの対応です。

相手のボランチにボールが入れば、滋賀のボランチがすぐにボールへアタックする。

さらに、その一つ奥への縦パスが入っても、そこで終わらず次の選手が連動して寄せていく。

ここが非常に重要でした。

前線からの守備は、フォワードだけが走れば成立するものではありません。

フォワードが相手センターバックへプレッシャーをかけても、その後ろがついてこなければ、空いた中盤へ簡単にパスを通されてしまいます。

この日の滋賀は、前の選手が追ったときに、その後ろも連動していました。

だからこそ、琉球はボールを持つことはできても、簡単には前進できなかったのだと思います。

1点目につながったコーナーキックも、その象徴的な場面でした。

相手が後方へパスを戻した瞬間に、滋賀が守備のスイッチを入れる。

その場面では、中村選手がもともと相手ボランチを意識していました。

しかし、後ろへのパスが出た瞬間、そのまま相手サイドバックへ連動してプレッシャーをかけていく。

その圧力によって相手のミスを誘い、最終的にコーナーキックを獲得しました。

そして、そのセットプレーから先制点が生まれています。

「CKから得点した」

だけを見ればセットプレーのゴールです。

でも、その一つ前まで見ると、得点のスタートは前線からの守備だったとも言えます。

こういう部分が、結果だけでは見えにくいサッカーの面白さだと思います。

前半のシュート数は滋賀6本、琉球5本。

支配率では大きな差がありましたが、シュート数では滋賀が上回っていました。

ボールを持つことと、試合を優位に進めることは必ずしも同じではない。

今回の前半は、それがよく表れていた45分だったと思います。

② 後半に試合を引き寄せた「奪ってからの速さ」

後半開始から、ロメロ・フランク選手に代わって久保選手が投入されました。

それでも滋賀の大きな狙いは変わらず、前半同様に前線からの守備が機能していたと感じます。

ただ、その中で後半はもう一つ重要なポイントがありました。

それが、

「奪ったあと、どれだけ早く前へボールを運べるか」

です。

前からボールを奪えても、そこから横パスやバックパスを繰り返してしまえば、相手は守備の陣形を整える時間を得ます。

逆に、相手が攻撃しようとして前向きになった瞬間にボールを奪い、そのまま縦へ速く攻撃することができれば、大きなチャンスになります。

この試合では、中村選手の縦パスが非常に効いていたと思います。

特に印象に残ったのが、ワンタッチで前線へ入れるパスです。

一度ボールを止めてからパスを出すのではなく、ボールが来た瞬間に前へつける。

この一つのプレーによって、攻撃のスピードは大きく変わります。

相手守備陣が戻る前に、前線の選手へボールを届けることができるからです。

日野選手の2点目が生まれる前にも、前線からの守備でボールを奪い、そこから縦へ速く攻撃する場面がありました。

実際、得点前にも日野選手自身にチャンスが生まれています。

つまり2点目だけが突然生まれたのではなく、その前から同じような形で相手ゴールへ迫れていたということです。

そしてもう一つ、個人的に大きかったと感じたのが坂元選手のキープです。

低い位置でボールを奪ったあと、前線でボールを収める。

簡単そうに見えるプレーですが、チームにとってはかなり重要です。

相手を背負いながらボールをキープできれば、後ろの選手が押し上げる時間を作ることができます。

さらに、そこでファールを取ることができれば、相手の攻撃を完全に切ることもできます。

守備をしたあとにすぐボールを失ってしまえば、また守備をしなければなりません。

逆に一度前線で時間を作ることができれば、チーム全体が一息つくことができます。

前から奪う。

奪ったら素早く縦へ進む。

難しい状況なら前線で収める。

このバランスが、後半に滋賀が試合を自分たちのものへ引き寄せていった理由の一つだったと感じます。

③ 流れが琉球に傾いても耐え、交代選手が試合を決めた

2-0になったあと、試合がそのまま滋賀ペースで進んだわけではありません。

60分あたりからは、少しずつ琉球がボールを前へ運べるようになってきました。

特に、バイタルエリアやハーフレーンでパスをつながれ、シュートまで持っていかれる場面が増えていました。

バイタルエリアとは、簡単に言えばペナルティエリアの手前付近。

ハーフレーンは、中央とサイドの間にあるスペースです。

どちらも守備側からすると使われたくない場所です。

そこで前を向かれる回数が増えれば、当然失点の可能性は高くなります。

この時間帯だけを見れば、琉球に流れが傾いていたと思います。

ただ、滋賀はそこで失点しませんでした。

最後のところで選手が体を張り、シュートコースを消す。

相手に良い形で侵入されても、最後の一線を越えさせない。

2-0というスコアでは、1点を返されれば試合の雰囲気は大きく変わります。

だからこそ、この時間帯を無失点で耐えたことはかなり大きかったと思います。

そして、その流れの中で行われたのが日野選手から竜田選手への交代でした。

日野選手はすでにゴールを決めています。

フォワードは得点すると勢いに乗ることがありますし、

「もう1点取ってくれるかもしれない」

と、そのままピッチに残したくなるのも自然な考えです。

それでも交代を選択した。

そして投入された竜田選手が、交代から1分も経たないうちに3点目を決めます。

得点シーンも素晴らしいものでした。

クリアボールを前線で収め、三宅選手へつなぐ。

三宅選手が時間を作ったところから、相手左サイドの背後へ竜田選手がランニングします。

そこへ正確にボールが入り、前を向く。

ペナルティエリアの角付近からカットインし、左足でシュート。

弧を描くようなコントロールショットがゴールへ吸い込まれました。

シュート精度に定評のある竜田選手の良さが、非常によく出たゴールだったと思います。

ただ、僕がこの場面で面白いと感じたのは、シュートだけではありません。

交代した選手がすぐに結果を出したこと。

そして、

試合の流れが少し相手へ傾いていたタイミングで交代カードを切ったこと。

この2つです。

試合の流れを読みながら選手を入れ替え、その選手がゴールを決める。

まさに「采配的中」と言える場面だったと思います。

3-0以上に大きい「ホームでの1勝」

最終スコアは3-0。

シュート数は滋賀15本、琉球11本。

ボール支配率は滋賀37%、琉球63%でした。

数字だけを見ると、琉球が長い時間ボールを持った試合です。

ただ、今回の試合を見ると、滋賀はボールを持つ時間ではなく、

「どこで奪うのか」
「奪ったあと、どうゴールへ向かうのか」

という部分で試合を優位に進めていたように感じました。

そして、この勝利にはもう一つ大きな意味があります。

今季リーグ戦でのホーム初勝利です。

ホームでなかなか勝てない時間が続けば、選手だけではなく、スタジアム全体にも少なからず重さが出てきます。

だからこそ、ホームで3得点、無失点。

そして勝点3を取れたことは、単なる1勝以上の意味があるのではないでしょうか。

もちろん、この1試合ですべてが変わるわけではありません。

ただ、内容を伴ってホームで勝てたことは、次の試合へ向かう上でも一つの自信になると思います。

次節・奈良クラブ戦で見たいポイント

レイラック滋賀の次節は、9月26日(土)15時からアウェイで奈良クラブとの一戦です。

僕が次の試合で最も見たいのは、今回の琉球戦で機能した前線からの守備をもう一度出せるかという部分です。

琉球戦では、ただフォワードが追いかけるのではなく、その後ろの選手たちまで連動することで、相手のビルドアップを何度も止めることができました。

そして、奪ったあとには中村選手の縦パスを中心に、素早くゴールへ向かう攻撃も見せています。

この、

前から奪う → 奪った瞬間に縦へ進む

という流れを奈良戦でも作れるか。

ここは一つ大きな注目ポイントだと思います。

今回の3-0というスコアだけを見れば、レイラック滋賀の快勝です。

ただ、その背景には前線からの連動した守備があり、奪ったあとの速い攻撃があり、苦しい時間帯を耐えた守備があり、そして試合を動かした交代策がありました。

結果だけではなく、

「なぜ、その結果になったのか」

まで見る。

そうすると、同じ3-0という試合でも、見える景色は大きく変わってきます。

次節の奈良クラブ戦でも、結果だけではなく、その結果が生まれるまでの過程に注目して見ていきたいと思います。

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